ZIPPO社では1942から45年にかけて第二次世界大戦の影響で、従来のブラス素材からケース、インサイドユニット共にスチール素材に変更されています。これはブラス素材の不足が原因ですが、時代的にもスチールの材質自体がそんなに良いものではなかったようです。そのためケース表面に黒い塗料を張り付けました。そのひび割れたような表面の仕上げは”ブラック クラックル”と呼ばれ、これは戦争中であってもZIPPOのケース表面が反射して相手に気付かれるのを防ぐ目的でもあったようです。当時のアメリカ兵士達には好評でかなりの数が軍に納品されたようですが、その数は公表されませんでした。公表することはその戦地での部隊の人数が判明してしまうためであったようです。それだけ当時のZIPPOは兵士達に愛された戦友でもあった訳です。

ヒンジについては42年は4バレルでしたが43年途中より3バレルに変更されました。刻印に関してはご覧のように見た目では確認できません。しかしながら剥がれてくるとZIPPOの刻印が現れます。
同じくケースにも初めてZIPPOの刻印が打たれるようになります。オイル止めのタバコ型フェルターも46年以降のフリントスクリュー用の穴がまだありません。
注意点は、ブラッククラックルが剥げると、ほとんどが錆びてきます。ヴィンテージ物でも多くが錆びてる物を見かけますが、それはそれで時代の流れを感じさせるのではないでしょうか。私の所有しているこの大戦ZIPPOはまだ状態が良い方です。
ZIPPO社の時代の流れを感じ取る代表的なZIPPOのような気がします・・・

・ヒンジ /旧タイプ3バレル

・ケース/スチール製(ブラック・クラックル)

・インサート/旧型スチール製

・フリントホイール/平行歯

・カム/旧型カム  波形カム・スプリング

・チムニーホール数/14ホール

・ボトム刻印/未確認